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IMG_0940.jpg忘却の河  福永武彦
福永武彦全小説第7巻 新潮社

「草の花」を読んで感銘を受け、
福永武彦2冊目を手にとりました。
「忘却の河」です。



「忘却の河」を読んで、完全に福永武彦のとりこになってしまいました。
この本もまた、読後何度もページを繰り、読み返しました。
生と死、そして愛するということ。
福永武彦の永遠のテーマを、ある1つの家族を題材にして語っています。
同じ家族でありながら、それぞれに孤独と秘密をかかえ生きている父、母、そして2人の娘達。
 
日本海の海辺の寂しくて貧しい村
東北の田舎の貧しい村
掘割のどぶの水の臭いのする都会の貧しいアパートの一室

悲しい情景の数々、そして登場人物の心の告白が静かにそして熱く胸にせまる物語。

彼はその時若かったし、私は今や老いた。
人生の経験が私に教えたものは何だったろう。
私はその女を抱き、
今は悔恨もなく自責もなく、そして燃え上がるような官能の悦びもなく、
ただこの行為が一切の忘却につながるが故にこの女を愛していた。

理想とか主義とかはとうの昔に殺してしまった。
悔恨が襲うことがあっても私はそれを意志で押し殺すことを覚えた。

賽の河原
あまりにも悲しくてせつない場所。
実際に通称賽の河原と呼ばれる場所は、日本にも何箇所かあるそうです。
たとえば、青森県の恐山もその1つです。
作者は賽の河原はあとがきで、まったくの空想であると書いていますが、
日本海の海辺の片田舎に、本当にこんな場所があったんだろうと
小説のなかの風景を実在の場所と重ねあわせていました。
以前旅した石川県の曽々木海岸あたりは、
昔はこんな場所だったのではと思わせる風景が広がっていました。
能登には、湖月館という福永武彦ゆかりの宿があるそうです。
福永ファンとしては、ぜひ泊まってみたい宿の1つです。

去年の秋から水滸伝を読みはじめたものの、最近は中だるみ状態。
11巻まで読破しましたが、完結編の19巻までにはまだ遠い。
最初は面白くて夢中で読みましたが、中盤戦にいたっては同じことの繰り返しばかり。
志を語る同士も、次第に陳腐なものに見えてきた。
登場人物も多く話が長すぎるため、主要人物以外はこの人ってどんな人だったかな、
どこに出てきたかな、とその人となりも忘れてしまっています。
水滸伝は娯楽小説としてぼちぼち最後まで読むことにして。
福永武彦、夏目漱石、水滸伝を同時進行で読み進めることにしました。
三つ巴の読書です。
それぞれジャンルも違って
この3冊のブレンドはとてもいい感じです。
久しぶりに読書が楽しい。
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