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IMG_9095.JPG僕は日本でたったひとりのチベット医になった
小川 康 (おがわやすし)
径書房 (こみちしょぼう)

チベット医学とは、チベット仏教に根ざした精神医学であり、8世紀に医聖ユトクが、
チベットの伝承医学に、中国医学、インド伝統医学(アーユルヴェーダ)、
イスラム伝統医学(ユナニ医学)のエッセンスを加えて完成させたといわれています。
チベット医学の教典は、「四部医典」。
4つの部門から成り立ち、メンツィカン(チベット医学暦法学研究所)を卒業するとき
秘訣部を除くすべてを3~5時間かけて暗誦する試験、ギュースムが行われます。
著者は、インド北部ダラムサラにあるメンツィカンにチベット圏以外の外国人として
はじめて合格し、困難を乗り越え無事卒業、チベット医・アムチとして認められた人です。
 
インド・ダラムサラには、1959年ダライラマ14世が亡命し、チベット亡命政府があります。
メンチィカンでの学生生活は、莫大な量の教典の暗誦、
標高4000メートルを超えるヒマラヤ山中での命がけの薬草採取、
1年に1日だけ、満月の光のもとでしか作ることのできない神秘の薬、月晶丸作りの実習など、
他には類を見ない授業が待ち受けていました。

チベット医は大自然とむきあい、五感を働かせて診察する。
患者のために命がけで薬草を採取し、
患者の声に耳をかたむける。
そこには医学の原点があります。

そして著者自身、薬草採取の時、背中に大きなリュックを背負い急流を渡りながら、
だめだ、落ちる!と思った瞬間、
なにかに守られている、と感じたのは1度や2度ではないと語っています。
チベットに渡る5年も前のこと、
勤めていた会社の上司に、
「初めて出会ったその瞬間、チベットの古い僧院が眼前に拡がり、
目眩がして倒れそうな衝撃をうけた。
僕と君は、前世のどこかで、一緒にチベットの僧院にいた。」
と告白されています。

著者の笑いと涙のダラムサラでの青春とチベット医学。
そこには学問だけでは手に入れることの出来ない、
太古の昔から、人間が大自然とともに生きてきた
不思議な神秘の力を感じます。

チベットに興味のある人もない人も、
とても面白い本です。
☆☆☆☆☆
お勧めです。
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