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IMG_3332.JPG氷壁    井上靖
新潮文庫
昭和32年に書かれた小説ですが、古さを感じさせないストーリー展開でとても面白かった。
ゴールデンウィークに上高地を訪れ、
次回また上高地を訪れる前に読みたいと思っていた本です。
若い妻をもった初老の男性、教之助の悩みと、
年の離れた夫をもった若く美しい妻、美那子の乾いた心。
人妻の美那子に恋した登山家、上条。
そして上条の親友、魚津もまた美那子に思いをよせてしまう。
美那子は魚津に惹かれていき、
上条の妹、かおるは魚津を恋する。
自分も気がつけば、50に手が届く年齢に。
この年になって読むと、
それぞれの年齢ゆえの悩みと気持ちがわかってしまうから面白い。
山岳小説というだけではなく、恋愛小説としても読めるし、
様々に交差する人間模様が面白い。
上高地、穂高の美しく険しい風景が目の前に広がり、
登山家の山に対する神聖な思いが伝わります。
山ガールの入門書としても楽しめます。
そして作中にでてくる、
登山家ロジェ・デュブラの詩
     モシカアル日
心に響く詩です。
それにしても、
魚津が最後に山に登る理由は、女の私には理解できない。
男って身勝手な生き物だ。
 
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